【読書】逆ソクラテス(伊坂幸太郎)読み終えたー!

🌀逆ソクラテス|伊坂幸太郎の“逆転”思想が心を突き刺す短編集

読了後、ひと言で表すなら「鮮やかな一撃」。
伊坂幸太郎の短編集『逆ソクラテス』は、“思い込み”という日常の鎖を軽やかに断ち切る、知的で心温まる逆転劇の連打だった。

🧠タイトルに込められた違和感と挑発

「逆ソクラテス」という言葉を見たとき、一瞬戸惑う。問答法の使い手である哲学者に“逆”とはどういうことか?
実はこの短編集、全5篇すべてが「常識を疑い、先入観に抗う」物語になっている。いじめ、家庭環境、見た目の印象――。
子どもたちの世界で描かれるそれらの“思い込み”は、どこか私たち自身にもつきまとう。

📚各篇が語る「思考する力」

特筆すべきは、いずれの話も少年たちが知性と勇気をもって世界に反論する点。
とくに『逆ソクラテス』の冒頭篇では、教師による決めつけに対して、子どもたちが“問う”ことで価値観をひっくり返す。
ソクラテスが「問う」ことで相手に気づかせたように、彼らもまた“考えることで反撃する”。

🌀伊坂節の真骨頂:伏線とユーモア

伊坂作品らしい軽妙なテンポ感と、ちりばめられた伏線の妙も健在。
一見、日常のほほえましいやり取りの中に、“問い”が仕込まれていて、読者は何度も思考の転換を強いられる。
ユーモアと皮肉の匙加減が絶妙で、心地よく「ハッ」とさせられる瞬間が連続する。

👦子どもたちの純粋さが希望になる

この作品を読みながら、何度も「子どもってすごい」と思った。
彼らのまっすぐさと理不尽への違和感が、現代社会の澱を優しく洗い流してくれる。
大人になった私たちこそ、「逆ソクラテス」の精神を持ち続けるべきだと痛感する。


🎯総評:
考えさせられて、気持ちが晴れて、ちょっと泣ける。
「人はもっと自由に、疑い、考え、逆転していい」そんなメッセージを受け取った一冊でした。


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